在来種とは何か、その歴史と現在
執筆: Hazel Starbrook、
地域に根ざした種が持つ意味を、家庭菜園の視点から考える
在来種という言葉を聞いたことがある方は増えてきましたが、具体的に何を指すのか、固定種とどう違うのかについては、まだあまり知られていないように感じます。種を扱う立場から、在来種について整理してみます。
在来種の定義
在来種とは、特定の地域で長年にわたって栽培されてきた品種のことを指します。農家が毎年自家採種を繰り返すことで、その土地の気候や土壌に少しずつ適応してきた品種です。亀戸大根や京野菜の品種群がその代表例として知られています。
固定種は形質が安定した品種の総称で、在来種はその中の一カテゴリーと考えることができます。すべての在来種は固定種ですが、すべての固定種が在来種というわけではありません。
在来種が減ってきた背景
戦後の農業の近代化とともに、収量が多く形が揃うF1品種が普及しました。農家にとっては管理しやすく、市場での流通にも向いていたため、在来種の多くが栽培されなくなりました。
種を毎年買い直すF1品種の普及は、農家が自家採種をしなくなることにもつながりました。自家採種の技術が引き継がれなくなると、在来種はその地域から消えてしまいます。
家庭菜園で在来種を育てる意味
家庭菜園で在来種を育てることは、その品種を次の季節につなぐことでもあります。自家採種して翌年また蒔く。その繰り返しが、品種を生き続けさせます。
味や形の個性も在来種の魅力のひとつです。市場に出回る野菜は形が揃っていることが求められますが、在来種は個体差があることも多く、それが家庭菜園ならではの楽しさにつながります。
在来種を育てることは、特別なことではありません。種を蒔いて、育てて、また種を取る。その繰り返しが、品種を次の世代に渡すことになります。